2024年10月 主要チョコレートメーカー値上げ情報まとめ

こんにちは!岡山の自然食品店さしすせそです!

2024年10月、日本の主要なチョコレートメーカーが相次いで製品価格の値上げを実施します。

チョコレートの原材料であるカカオ豆の価格はこの1年で3倍に跳ね上がっています。

カカオの主要産地での天候不順による不作が原因とされていますが、それだけではありません。

この1年に限らず、カカオ豆は生産において単一栽培による弊害や、生産者が不利になる取引など多くの問題を抱えていました。そこに気候変動や輸送コスト、包装資材、その他の原料の高騰も重なり、多くの企業が価格調整を余儀なくされています。

この動きは私たち小売店だけでなく、消費者の皆様にも大きな影響を与えることになります。カカオの価格はこの先どうなっていくのでしょうか?

今回は、主要メーカーの値上げの詳細や背景、今後どのようにしていくべきかについて詳しく解説していきます。

値上げを発表している主要チョコレートメーカー

すでに8月、9月頃から値上げの動きは始まっています。日本では明治、ロッテ、森永、チロルチョコ、有楽制菓、不二家などの企業が値上げを発表しています。

メーカー価格改定
10月1日出荷分より
明治ミルクチョコレート
アーモンドチョコ
チョコレート効果シリーズ
きのこの山
たけのこの里 など
値上げ率:約6~31%
11月1日出荷分より
板チョコレート各種
クランキー
コアラのマーチ各種
パイの実各種
チョコパイ など
値上げ:3.7~38.4%
9月2日出荷分より
ダース
小枝
カカオのチョコレート など
値上げ:3~10%増
9月2日出荷分より
GABA(ギャバ)各種
LIBERA(リベラ)各種
神戸ローストショコラ など
値上げ:9~15%増
10月1日、11月1日、5日出荷分より
アルフォートミニチョコレート
ブランチュール
ミニ濃厚チョコブラウニー など
値上げ:3~35%増
9月2日、3日、10日出荷分より
ミルキーチョコレート
カントリーマアムチョコまみれ
アンパンマンミニミニチョコレート
ルック など
値上げ率:8~20%
9月2日出荷分より
チロルチョコ<ミルク>
チロルチョコ<コーヒーヌガー>
チロルチョコ<ホワイト&クッキー>
チロルチョコ<ビス> など
値上げ率:約17%
10月1日、11月1日、5日出荷分より
あっさりショコラ
アーモンドチョコレート
さくさくぱんだ など
値上げ:20~30%増
10月1日出荷分より
ブラックサンダー など
値上げ率:35→40円

値上げ幅は広いですが、高いものだと30%前後の値上げされる商品もありますね。

また商品の値上げだけでなく、内容量が少なくなっている商品も多いです。

ここにまとめているのはまだまだ一部の企業と商品で、他社もチョコレート商品全般が値上げされていると考えて間違いないでしょう。

なぜこのような値上げになったのかの背景について解説していきます。

チョコレート値上げの背景

2024年10月に予定されているチョコレート製品の値上げには、複合的な要因が関係しています。

まず最も大きな要因として、カカオ豆の国際価格の高騰が挙げられます。

主要生産国であるコートジボワールとガーナでは、気候変動の影響による干ばつや病害虫の蔓延により、ここ数年カカオの生産量が著しく減少しています。

これに加え、世界的な需要の増加(特に新興国市場でのチョコレート消費の拡大)により、需給バランスが崩れカカオ豆の価格が急騰しています。

国際ココア機関(ICCO)の報告によると2023年と比較して2024年のカカオ豆価格は約30%上昇しており、この傾向は当面続くと予測されています。

次にカカオ豆以外の原材料費の上昇も大きな要因です。

砂糖や乳製品の国際価格も上昇傾向にあり、これらはチョコレート製造におけるコスト増加に直結しています。

特に、乳価の上昇は酪農業界の人手不足や飼料価格の高騰が背景にあり、短期的な改善は見込みにくい状況です。

さらに、物流コストの増加も企業の負担を重くしています。

原油価格の高騰による燃料費や慢性的な運送業界の人手不足による人件費の上昇が、製品の輸送コストを押し上げています。

加えて国際的な物流網の混乱も依然として解消されておらず、原材料の調達から製品の配送まで、サプライチェーン全体でコスト増加が生じています。

これらの要因に加え、電気・ガス料金の値上がりによる製造コストの増加、包装資材の価格上昇なども、企業の収益を圧迫しています。

各メーカーは、これまで企業努力や生産性向上によってコスト増加を吸収してきました。しかし企業単独での対応には限界があり、今回の値上げに踏み切らざるを得ない状況となっています。

このような背景から、チョコレートメーカー各社は、製品の品質維持と企業の持続可能な経営のために、価格改定を決断したものと考えられます。

消費者にとっては負担増となりますが、長期的には安定した品質の製品を供給し続けるために必要な措置であると、業界では認識されています。

カカオ産業が抱える切実な問題

今回の値上げに関わる背景について解説しましたが、カカオ産業が抱える問題は今に始まったことではありません。

カカオ産業には解決しなければならない問題

が存在します。

  • 不公平な取引
  • 貧困
  • 児童労働
  • 環境破壊
  • 労働者の権利 など

これらの問題について知っていますでしょうか?

私たちの身近にあるチョコレートですが、安価なものは数十円、数百円で買うことができます。

なぜこんなにも安い価格で買うことができるのでしょうか?

それは、生産者であるカカオ農家の利益が最終製品の価格のごく一部に過ぎないからです。

中間業者や大手チョコレートメーカーが利益の大部分を得る構造になっています。

また、生産者から安くカカオを買い取ることで、消費者に安くチョコレートを届けることができるとも言えます。

そのため、チョコレート産業は全世界で1100億ドル規模(約16兆円)ありますが、カカオ農家の多くは貧困状態にあります。

報告されているカカオ農家の日給は110円くらいと言われています。

カカオは生産の工程が多く、力作業も必要です。朝から日が暮れるまで働いて得られる収益がそれです。

労働力を確保するために、子どもは学校に行かず、児童労働を強いられています。

私たちが手軽にチョコレートを手に取れる裏側では、こういった構図が隠れています。

カカオの問題は貧困だけではありません。

カカオの生産によって、環境破壊も起こっています。

効率よく大量生産を行うために、プランテーション(単一栽培)という手法が採られています。

プランテーションには次のような問題があります。

  • 土壌の劣化
  • 生物多様性の減少
  • 病害虫のまん延
  • 大量の農薬散布

特定の作物だけを栽培し続けると、作物が育ちにくくなる特徴があります。

土壌中の栄養や微生物が偏り、農業の生態系全体のバランスを崩す原因にもなります。

また同じ作物が広範囲で栽培されると、病害虫が集中しやすく、感染が広がりやすくなるリスクもあります。

そのため農薬の使用も増加し、土壌の健康が損なわれていきます。

実際、カカオは栽培を続けていくと育たなくなっており、熱帯雨林を伐採して新しくカカオを植えて栽培していくのを繰り返しています。

2000年代の20年間で、推定100万ヘクタール以上の熱帯雨林が失われたとされています。

※100万ヘクタールは東京23区の面積の約16倍、サッカー場の約140万個分です。

昨今の気候変動が原因と言われる前に、すでにそういった前兆は起こっていたのですね。

このままいくと、カカオは2050年に絶滅すると言われています。

わたしたちにできること

こういった現状を踏まえて、わたしたちにできることはあるしょうか?

解決策の一つに”フェアトレード“のチョコレート製品を選択するというのがあります。

フェアトレードは”公平な取引”という意味で、生産者の農家さんと適正価格で取引を行おいうという取り組みです。

農家さんの生活を安定させ、児童労働をさせないためでもあります。

さらにフェアトレードのチョコレート製品は、森林保護や持続可能な農法を行っているカカオ豆を仕入れるようにしているのも特徴です。

消費者のデメリットとしたら、価格は一般的なチョコレートよりも割高になります。

値上げの波はフェアトレード製品にも波及しています。

しかし値上げすることは消費者としては辛い出来事ではありますが、この問題に関してはそもそもが適正な価格ではなかったのではないでしょうか。

そしてあくまでもチョコレートは嗜好品で、日常にバクバク食べるものではないです。

ひと口ひと口を大事に食べるようにして、チョコレートの過剰供給を減らすこともカカオ存続には必要なことだと考えられます。

まとめ

今回は日本の主要チョコレートメーカーの値上げ商品のまとめと値上げにある背景について記事にしました。

チョコレートの価格高騰はチョコレートに関わる企業や小売店、飲食店、洋菓子店・・そして消費者までに多大な影響を与える出来事になっています。

しかしこれを機にチョコレート生産で起こっていることや自分たちの買い物の仕方について考えるきっかけになればと願っています。

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