オリーブオイルは体に悪い?良い?重要なのは選び方!

こんにちは!岡山の自然食品店さしすせそです!

今回はオリーブオイルについて解説を行います!

オリーブオイルって何がいいのかしら?
偽物があるなんて聴いたけど、本当なの?
どうやって選べばいいの?

そんな疑問にお答えします。

せそ

オリーブオイルの選び方、油の中でもとても難しいです。エクストラバージンオリーブを選ぶ場合、油断すると偽物を購入してしまっている可能性もあります。どこに問題があるのか、ぜひ知っておきましょう!

この記事でわかること
  • オリーブオイルとは何かがわかる
  • オリーブオイルの基準がわかる
  • オリーブオイルの国際的な問題がわかる
  • オリーブオイルの選び方がわかる

オリーブオイルとは?

オリーブオイルとは、オリーブの実を搾ってできる植物性の油です。主にイタリアンやフレンチと言った地中海料理では、欠かせない存在となっています。

そんなオリーブオイルですが、体にとって健康的なのか?

結論から言うと、オリーブオイルはどのオリーブオイルを選ぶかで健康に良いかどうか決まります。

オレイン酸が豊富な油で、熱に強く酸化しにくい特徴があります。生食から加熱食まで幅広い調理に活用できるので、とてもおすすめの油です。

ただしオリーブオイルには、エクストラバージンオイルやピュアオイルといった種類があり、容器や保管場所によっては酸化が進みやすいなど「選び方」でガラリと変わります。

またオリーブオイルは、オリーブ独特の風味が好みを分かれます。人によってはこの風味がたまらなく食欲をそそります。でも苦手な人にとっては邪魔になり、米油や菜種油と違ってクセがあるのも特徴です。

クセの少ないオリーブオイルもありますが、精製度が高く栄養価が損なわれている懸念点もあります。

さらには産地偽装などの問題も抱えており選び方がとても重要なのがオリーブオイルです。

本記事では、オリーブオイルの種類による違いや特徴、製造方法から産地偽装の問題まで、オリーブオイルに関する必要な情報をまとめています!これを参考にぜひオリーブオイルの選び方をマスターしてください!

オリーブオイルの種類

実はオリーブオイルには種類があります。オリーブオイルの種類によって、味や風味、酸化への耐性、価格まで違ってきます。

自分好みのオリーブオイルや良質なオリーブオイルを見極める上で、

どんなオリーブオイルがあるのかを知る必要があります。

日本で販売されているオリーブオイルの主な種類

日本のスーパーやコンビニなどに並んでいるオリーブオイルは、大きく分けて2種類です。

  • エキストラバージンオリーブオイル
  • 精製オリーブオイル

エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの果実を搾ったそのまんまの生のオリーブオイルです。香りが高く、抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンEなどの栄養成分も含まれています。

逆に精製オリーブオイルは、色味や香りなどを取り除いてクセのない油に仕上げています。オリーブオイル独特の渋みや苦味が苦手な人でも扱いやすく、幅広い料理にも合わせやすいのが特徴です。

この2種類に加えて、オリーブオイルと別のオイルを混ぜ合わせたブレンドオイルもよく見かけます。

  • ブレンドオイル

例えば、キャノーラ油やひまわり油にエクストラバージンオイルをブレンドして、オリーブオイルの風味に寄せている商品などがあります。

ブレンドされているので純粋なオリーブオイルではないですが、緑色のパッケージで一般的なオリーブオイルに似せたデザインになっています。ぱっと見では気付きにくいので、オリーブオイルと間違えて購入されている方も多いのではないでしょうか。ご家庭にあるオリーブオイルを確認してみてください。スーパーで買われている方、安いのを求められている方、ブレンドオイルかも知れません。

日本でよく見かけるオリーブオイルのおおまかな分類がこの3種類です。

ただし、オリーブオイルにはIOC(国際オリーブ理事会)が定める国際的な基準があり、品質や製造方法によってさらに細分化されます。

IOCが定めるオリーブオイルの種類と定義

まずIOCとは国際オリーブ理事会(International Olive Council)の略で、オリーブの栽培からオリーブオイルの品質などの国際基準を定める公的機関です。1959年に設立され、スペイン・マドリードに本部を置きます。

IOCの基準でオリーブオイルは、以下のように分類されています。

バージンオリーブオイル系

  • エクストラバージンオリーブオイル
  • バージンオリーブオイル
  • オーディナリーバージンオイル
  • ランパンテバージンオリーブオイル

精製オリーブオイル系

  • 精製オリーブオイル
  • ピュアオリーブオイル

オリーブポマスオイル系

  • クルードオリーブポマスオイル
  • 精製オリーブポマスオイル
  • オリーブポマスオイル

それぞれのオイルについて解説していきますね。

バージンオリーブオイル系

オリーブの果実を低温圧搾や遠心分離などで抽出し、化学処理を行っていないオイルをバージンオリーブオイルと言います。バージンオリーブオイルの中でも、オイルの品質によってグレードが変わります。

バージンオイルのグレードは、以下のような要因で変わります。

  • オリーブの実の品質…実の傷み具合など
  • 収穫のタイミング…早摘み、遅摘みでの違い
  • 収穫後の処理の速さ…収穫から圧搾までにかかる時間
  • 保管環境…光、熱、空気に触れず適切な管理状況の違い

グレードの違いは「酸度」と「官能評価」の2つで決まります。

酸度は。オリーブオイルに含まれる遊離脂肪酸(FFA)の割合で、酸度が低いほど品質が高い。オリーブの損傷や収穫後の遅れ、保存状態の悪さが酸度の上昇の原因になります。

官能評価は、オリーブオイルの味や香りの評価です。

エクストラバージンオイル(Extra Virgin Olive Oil)

オリーブオイルの中で、最も高品質なオイル。酸度は0.8%以下

厳選された早摘みのオリーブの実を、収穫後、手早く圧搾して抽出された最高グレードのオリーブオイルです。原料やオイルに欠陥がなく、フルーティーで香りが高いの特徴。

ポリフェノールやビタミンEが豊富で、抗酸化作用などの健康効果も高いです。

バージンオリーブオイル(Virgin Olive Oil)

エクストラバージンまでのクオリティには達していないが、低温圧搾、化学処理もなく抽出されたオリーブオイル。酸度は2.0%以下

風味はやや穏やかで、エクストラバージンのような鮮烈な香りは少ないものの、調理用としては十分な品質を保ちます。

ポリフェノールやビタミンEなどの栄養素もエクストラバージンと比べると少なくなります。

オーディナリーバージンオリーブオイル(Ordinary Virgin Olive Oil)

「オーディナリー」はバージンオリーブオイルの中でも品質が低いグレードのオイル。それでも酸度は2.0~3.3%以下に収まっています。

原料のオリーブに若干の傷みや収穫後の保管状態が良くない場合に発生します。

そのままでは食用として提供できないため、市場ではほぼ流通していません。精製オリーブオイルの原料となって、雑味などを取り除いて出荷します。

ランパンテバージンオリーブオイル(Lampante Virgin Olive Oil)

「ランパンテ」はランプ用という意味で、食用としては使用できないオリーブオイル。酸度は3.3%を超えています。

腐敗や発酵、酸化が進んだオリーブを使用しており、腐敗臭や異臭が強い。収穫後の劣化や加工の失敗などが原因で生まれます。

こちらもそのままでは食用として使えませんが、ランパンテも不純物を取り除いて精製オリーブオイルにもなります。もしくは工業用として使用されます。

精製オリーブオイル系

精製オリーブオイル(Refined Olive Oil)

低品質なバージンオリーブオイルを高温処理や化学処理によって、不純物を取り除いて精製されたオリーブオイル。酸度は0.3%以下。

風味や香りはほぼなく、オリーブオイルとしては物足りない印象になる。いい意味で言うとクセがなく、扱いやすいとも言えます。

精製の工程は‥

  • 脱酸(中和)…酸度を下げるために、苛性ソーダ(NaOH)などのアルカリ剤を加えて中和。遊離脂肪酸が鹸化し、水と一緒に除去される。
  • 脱色…活性白土や活性炭を使い、クロロフィルやカロテノイドなどの色素を吸着、除去。これによりオリーブオイル本来の黄色から緑色の色素が失われ、透明または淡い黄色になる。
  • 脱臭(脱臭蒸留)…200~250℃の高温・低圧環境で蒸気を吹き込み、不要な発揮性物質(オリーブの香り成分や酸化物)を除去。これにより無味無臭に近いオイルになる。
  • 脱ロウ…必要に応じて、オイルを冷却して、ろ過し、ワックス成分(ロウ)を除去※ロウはろうそくの原料。これにより低温でも濁りにくくなる。
  • 最終ろ過…不純物や残留物を完全に取り除くため、ろ過を行い、透明度を高める。

これらの精製工程により、酸度が低下し、色や風味がほぼ無くなります。

色味や香りは無くなりますが、不純物がなくなり、酸度も極めて低くなり、酸化しにくい安定したオイルになります。加熱調理に向いています。私たちが身近で使っているサラダ油のようなものですね。

ただし一般的な大豆やとうもろこしで作られたサラダ油と違いリノール酸は少なくオレイン酸がメインのサラダ油と言えます。

オリーブオイル(Olive Oil)

日本ではピュアオリーブオイルと呼ばれて精製オリーブオイルにエクストラバージンオリーブオイルをブレンドしたオイルです。酸度は1.0%以下。シンプルにオリーブオイルと表記される場合も。

精製オリーブオイルだけでは色や香りがほぼないため、エクストラバージンをブレンドすることでオリーブオイル本来の風味を補っています。コスパよくオリーブオイルの風味を楽しみたい場合におすすめです。

またエクストラバージンオリーブオイルは加熱すると香りや栄養成分も壊れやすいので、生食はエクストラバージン、加熱食はピュアオリーブという使い分けも良いです。

オリーブポマスオイル系

オリーブポマスオイルは、オリーブの絞り粕(ポマス)から溶剤を使用して抽出されたオイルです。一部、遠心分離や圧搾での抽出されることもあるが、効率は低いです。

風味や栄養素はほとんど残りません。

クルードオリーブポマスオイル(Crude Pomace Olive Oil)

クルードオリーブポマスオイルは、精製処理を施す前の原油を指します。もしくは化粧品、石鹸、工業用に使用されます。

クルードは未精製の意味。

精製オリーブポマスオイル(Refined Olive-Pomace Oil)

精製オリーブオイルは、クルード(未精製の)オリーブポマスオイルを精製処理したオイルです。酸度0.3%以下。

精製工程は、精製オリーブオイルと同じです。原料がオリーブの実から抽出したバージンオイルか、搾りかすから抽出したオリーブポマスオイルなのかの違いですね。

ただしポマスは絞り粕なので、すでに一度絞られた後のオリーブから抽出しているため、風味や香り、栄養成分はさらに少なくなります。精製オリーブオイルの方が、オリーブポマスオイルと比べるとまだ若干、栄養素も残っています。

オリーブポマスオイル(Olive-Pomace Oil)

オリーブポマスオイルは、精製オリーブポマスオイルにエクストラバージンオリーブオイルをブレンドして風味を補ったオイルです。酸度は1.0%以下。ピュアオリーブオイルと違い、ピュアと表示はできません。

ピュアオリーブオイルよりも風味は劣りますが、さらにコスパ良くオリーブオイルを楽しむためのオイルです。

クルード(未精製の)オリーブポマスオイルを指している場合もあります。

せそ

このようにオリーブオイルの種類は複数ありますが、日本で見かけるオリーブオイルはエクストラバージンオリーブオイルかピュアオリーブオイル、他の油とのブレンドオイルのどれかが多いですね。

オリーブオイルの脂肪酸組成

体に良い油かどうかを決める上で重要になのが、脂肪酸組成です。油によって脂質に含まれる脂肪酸の種類は異なります。また単体ではなく、数種類の脂肪酸で構成されており、どの脂肪酸がどれくらい含まれているのかを脂肪酸組成と言います。

オリーブオイルが健康的だと言われる理由の一つが、理想的な脂肪酸組成にあります。

  • オレイン酸:約70~80%
  • リノール酸:約5~15%
  • パルミチン酸:約7~15%
  • その他:ステアリン酸、リノレン酸など

オリーブオイルはオメガ9系の脂肪酸「オレイン酸」が豊富で、加熱や酸化に強い油です。

油の熱や酸化への耐性は、脂肪酸を構成する炭素鎖の中の二重結合の数で決まります。二重結合の数が多いほど、熱に弱く酸化しやすいと言われています。オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で、二重結合が1つだけと少ないため、熱に強く酸化しにくい特徴があります。

心臓血管の健康や血中の悪玉コレステロールを下げてくれる効果が期待されます。

また二重結合の配置によって、オメガ9、オメガ6、オメガ3にそれぞれ分類されます。油を摂取する上で意識したいのが、オメガ6とオメガ3のバランスです。理想のバランスは4(オメガ6):1(オメガ3)の割合と言われています。

大豆やトウモロコシを原料とする一般的なサラダ油は、オメガ6(リノール酸)が多いです。オメガ3は主に青魚に含まれています。外食やスナック菓子、家庭でのサラダ油の使用などによって、現代人はオメガ6の油を取り過ぎていてバランスが12(オメガ6):1(オメガ3)と過剰に摂取してしまっている可能性が高いです。またオメガ6系の油は二重結合が2つある、多価不飽和脂肪酸に分類され、やや熱に弱く、酸化しやすい特徴があります。

なのでご家庭で使用する油は、オメガ9系の油がおすすめです。オメガ9系の油は一価不飽和脂肪酸で、熱に強く酸化しにくいので調理用とても向いています。通常、オメガ9系の油にもオメガ6系も含まれています。オリーブオイルにもオメガ6系のリノール酸が含まれています。しかしその含有量がとても低いので、理想的な脂肪酸組成と言えます。

油についての詳細はこちらの記事も参考にしてみてください

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オリーブオイルの製造方法

オリーブオイルはどのように製造されるのか。バージンオリーブオイルの製造方法について解説していきます。

STEP
収穫

オリーブの実は手摘みや機械摘みで行われ、熟成度合によって風味が変わります。

STEP
洗浄と粉砕

オリーブを洗浄し、ペースト状に粉砕します。

STEP
ペーストの攪拌(マラクセーション)

ペーストを攪拌して、油分を分離させます。

この工程は、より効率よく油の抽出をするために行います。伝統的な製法ではこの工程は粉砕する石臼で行い、油の抽出は効率が悪かった。現在では石臼式は主流ではないが、職人による小規模生産などで現存はしています。

STEP
抽出

低温圧搾もしくは遠心分離機で油を抽出します。

現在は圧搾はほとんど行われず、より効率的な遠心分離が主流です。

遠心分離機は高温になるという記事もありますが、水冷式や低速回転により低温抽出を実現しています。圧搾法よりも効率よく抽出でき、不純物の混入がより少なく、時間短縮によって酸化を防ぐメリットがあります。

STEP
ろ過

最後にろ過をして不純物を取り除きます。

ろ過にはセルロースフィルターや紙フィルターを使用されます。綿(布)を使用した伝統的なろ過もあります。

稀にろ過をしないノンフィルターのオリーブオイルもあります。よりオリーブの風味が強いですが、劣化しやすいのがデメリット。

オリーブオイルの酸度と酸価について

オリーブオイルの品質を評価する際に、「酸度」と「酸価」という指標があります。酸度、酸価ともに高い方が、劣化しやすく酸価が進んでいる可能性があります。

酸度とは?

この章は難しい化学的な話が多いです。深く理解するよりも「そういうものなんだな」という感覚で聴いてください。大事なのは酸度や酸価が高いか低いかで劣化や酸化の状態が分かります。その理解があれば問題ないです。

酸度はオリーブオイルに含まれる遊離脂肪酸(Free Fatty Acidity, FFA)の割合を示す値です。

遊離脂肪酸は、油脂(トリグリセリド)が加水分解されることで生じる脂肪酸のことです。本来、油脂は「グリセリン」と「脂肪酸」が結びついたトリグリセリド(中性脂肪)の形を形成しています。それが分解が進むと遊離脂肪酸が増えるメカニズムがあります。

酸価や劣化が進むと、遊離脂肪酸の割合が増加します。オリーブオイルでは、オレイン酸を化学分析し、遊離脂肪酸の量を計測します。

酸度の計算式は

酸度 = 遊離脂肪酸の重量 ÷ 全オイルの重量 × 100(%)

これでオリーブオイルの酸度が何%あるか計算されます。IOC(国際オリーブ理事会)の基準では、エクストラバージンオリーブオイルの酸度は0.8%以下である必要があります。

精製オリーブオイルは不純物を取り除くため、酸度が0.3%以下にまで抑えることができます。エクストラバージンよりも低いことになります。なので酸度が低いほど、グレードが高いとは一概には言えません。

酸価とは?

酸価(Acid Value, AV)は、油脂1g中の遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数です。単位は「mg KOH/g」で表記されます。

酸価が高いほど、酸化や劣化が進んでいることを示します。

この数値はオリーブオイルだけでなく、食用油全般で使用される指標です。一般的に酸化2.5mg KOH/g以上になると酸敗(油が劣化して酸化臭が出る)と判断されます。

酸価の計算式は‥

酸価 = 遊離脂肪酸の重量 ÷ 全オイルの重量 × 56.1

また酸度と酸価はどちらも遊離脂肪酸の量を示すので、どちらかの数値がわかればすぐに計算することができます。

酸価 = 酸度 × 1.99

例. 酸度0.8%の場合、酸化は1.6mg KOH/gに相当します。※四捨五入してます。※×1.99よりも×2の方が早く計算できます。

酸度や酸価が高くなる要因

酸度や酸価が高くなる要因は、様々なケースが考えられます。

  • 原料(オリーブの実)の状態
  • 製造工程での影響
  • 保存・流通の影響
  • 混入・偽装による影響

原料(オリーブの実)の状態

傷ついた実や病害に侵された実

  • 収穫時や運搬中にオリーブの実が傷つくと、内部の酵素(リパーゼ)が働き、トリグリセリドが遊離脂肪酸に分解される。
  • カビや細菌感染による発酵が進むと酸度が上昇

収穫後の放置時間が長い

  • 収穫後すぐに搾油しないと、微生物や酵素の働きで脂肪酸が遊離し、酸度が上昇
  • 暖かい環境で長時間放置すると、発酵が進みやすい。

熟度の影響

  • 過熟(遅摘み)のオリーブは細胞が壊れやすく、酸度が高くなる傾向がある。※未熟(早摘み)のオリーブは酸度が低いことが多い。

製造工程での影響

粉砕・撹拌の温度管理が不適切

  • 撹拌時の温度が高すぎると酵素活性が上がり、遊離脂肪酸が増加する。
  • 「コールドプレス(低温圧搾)」は酸度を抑えるために重要。

不適切な搾油方法

  • 圧搾や遠心分離の工程で異物や微生物が混入すると酸化が進む。
  • 過度な圧力をかけるとオリーブの種子が砕け、苦み成分や不要な脂肪酸が溶け出すことがある。

ろ過不足や不純物の残存

  • しっかりろ過しないと、微細な果肉や水分が残り、分解が進んで酸価が上昇

保存・流通の影響

酸化の進行(光・熱・空気の影響)

  • 光に当たる → 紫外線で酸化が進む
  • 高温で保存 → 酵素や微生物が活性化
  • 開封後の酸素との接触 → 酸化による酸価上昇

保存容器の影響

  • 透明なボトルよりも、遮光瓶(暗色ガラス)や金属容器の方が酸化を防ぎやすい。
  • プラスチック容器は長期保存には向かない。

古くなったオイル

  • 長期間保存すると、加水分解や酸化が進み酸価が上昇
  • 開封後はなるべく早く使い切るのが理想。

混入・偽装による影響

品質の悪いオイルが混入

  • 低品質のオリーブオイルや、ポマスオイルが混ぜられていると酸度が高くなることがある。
  • 「エクストラバージン」と表示されていても、偽装されている場合があるため注意

異なる品種のオリーブをブレンド

  • 品種によって酸度の基準が異なるため、ブレンドの仕方によって酸度が変わることもある。

オリーブオイルの偽装問題

オリーブオイルの主な産地は、イタリア、スペイン、ギリシャなどです。最近ではトルコ、モロッコ、オーストラリア、アメリカ(カリフォルニア州)なども注目されています。

特にイタリアのオリーブオイルの人気が高く、品質の高いエクストラバージンオリーブオイルは高値で取引されています。

それと同時に偽装の問題に悩まされているんです。

2024年にもイタリアのローマで「偽エクストラバージンオイル」が押収され、販売していたレストラン50軒が摘発されました。ひまわり油をエクストラバージンオイルと偽装して販売していたそうです。

オリーブオイルの偽装問題は、特に品質の低いオリーブオイルが高品質なオリーブオイルとして偽って販売されていることです。消費者の信頼を損ね、業界全体に影響を与える深刻な問題となっています。

オリーブオイルの偽装手法

オリーブオイルの偽装には、いくつかの手法があります。

他の植物油との混合

安価な植物油(例:大豆油、ひまわり油、パーム油)などと混ぜて、エクストラバージンオリーブオイルやピュアオリーブオイルとして販売する手法です。これにより、製造コストを大幅に下げることができます。

例えば、オリーブオイルのラベルに「エクストラバージン」と記載されていても、実際にはオリーブオイルに他の植物油が含まれている場合があります。

質の悪いオリーブオイルの使用

酸度が高く品質が劣るオリーブオイルを使用し、それを精製して、エクストラバージンやバージンオリーブオイルとして販売するケースもあります。精製することで風味や香りが失われますが、消費者にはそれが気づかれないことが多いため、この手法が用いられることがあります。

別の産地や品種のオリーブオイルを偽って表示

産地や品種が偽られることもあります。例えば、「イタリア産」や「スペイン産」と記載されていても、実際には他の国(例えば、トルコやチュニジアなど)で生産されたオリーブオイルが使われていることがあります。偽装が行われる背景には、オリーブオイルの生産地によって付加価値があるため、これを偽って高額で販売するケースがあるためです。

低価格オイルのパッケージ詐欺

安価なオリーブオイル高級感のあるパッケージで販売することもあります。高級感のあるデザインやラベルが付けられた場合、消費者はそのオイルが高品質だと誤解して購入することがあります。

偽装問題の影響

オリーブオイルの偽装には以下のような悪影響があります。

消費者の信頼の失墜

高品質のオリーブオイルを求める消費者は、偽装されたオリーブオイルを購入してしまうことになります。これにより消費者は不信感を抱き、オリーブオイル全体の信頼性が低下します。

健康リスク

偽装されたオリーブオイルには、他の植物油や質の悪いオリーブオイルが混ぜられている場合があります。これらのオイルは、オリーブオイルの健康効果を期待して購入した消費者に対して、期待外れとなる可能性があります。

さらに、保存方法が不適切である場合や劣化したオイルを使った場合、健康リスク(例えば酸化したオイルによる体への影響)も考えられます。

市場の歪み

偽装オリーブオイルの存在により、正規に高品質なオリーブオイルを提供している生産者や企業が不利になることがあります。低価格で売られる偽装オイルが市場に出回ることで、正規のオリーブオイル業界に競争上の不公平が生じます。

偽装の防止策と規制

オリーブオイルの偽装問題を防ぐため、さまざまな取り組みが行われています。

検査と認証

PDO(原産地名称保護)やPGI(地理的表示保護)などの認証マークを持つオリーブオイルは、厳しい規制と品質基準を満たす必要があります。これらのマークがついているオリーブオイルは、偽装されにくくなります。

さらに、オリーブオイルの検査機関が、製品の成分や品質を定期的にチェックし、偽装を防ぐ努力をしています。

透明性の向上

生産者が使用するオリーブの品種や産地を明示(トレーサビリティ)することで、消費者がオリーブオイルの品質を確認できるようにする取り組みが進んでいます。

オリーブオイルのラベルに、具体的な製造プロセスや栽培方法を記載することが、透明性を高め、消費者の信頼を得る一歩になります。

消費者教育

消費者がオリーブオイルを選ぶ際に注意すべきポイント(例えば、ラベルのチェックや認証マークの確認など)を教育することも、偽装防止に効果的です。

せそ

偽オリーブオイルを見分けることは難しいです。日本の大手メーカーでも、産地や中身が偽装されたオリーブオイルが混入している可能性はあります。

日本のオリーブオイルの基準

オリーブオイルの偽装問題について解説しましたが、日本におけるオリーブオイルの基準には別の問題があります。

実は日本には「エクストラバージンオリーブオイル」の基準がないです。

日本の規格はJAS法によって定められており、「食用オリーブ油の規格」があります。JAS法でのオリーブオイルの基準は、「オリーブ油」と「精製オリーブ油」の2種類しかありません。

オリーブ油の規格は「オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄であること」「酸価が2.0以下であること」とされています。

区分基準
オリーブ油精製オリーブ油
一 般 状 態オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄であること。おおむね清澄で、香味良好であること。
特有の色であること。同左
水分及びきよう雑物0.30%以下であること。0.15%以下であること。
比 重0.907~0.913であること。同左
屈折率1.466~1.469であること。同左
酸価2.0以下であること。0.60以下であること。
けん化価184~196であること。同左
よう素価75~94であること。同左
不けん化価1.5%以下であること。同左
原材料食品添加物以外の原材料オリーブ油以外のものを使用していないこと。
食品添加物使用していないこと。
内容重量表示重量に適合していること。
日本農林規格の改正について「食用植物油脂」より抜粋

酸価が2.0以下ということは、酸度が1.0%以下ということです。IOC(国際オリーブ理事会)のエクストラバージンオリーブオイルの規格では酸度が0.8%以下なので、比べると日本の基準はやや緩いです。

逆にIOCのバージンオリーブオイルの規格は、酸度が2.0%以下なので日本の方が厳しい基準となっています。酸度1.0~2.0%のバージンオリーブオイルは、日本ではオリーブオイルとして販売できないということですね。

他サイトの記事で日本の基準は「酸度2.0以下」となっているものがありますが、おそらく酸度と酸価を間違えています。

またIOCのオリーブオイルの基準には酸度だけでなく、「官能評価」というものがあります。

官能評価とは人の五感(味覚・嗅覚・視覚・触覚・聴覚)を使って食品の品質を評価する方法です。オリーブオイルの場合、特に味覚と嗅覚を重視し、オイルの香りや風味、欠陥の有無を評価します。

IOCの官能評価は、専門のテイスティングパネル(認定審査員)が、ブラインドテストでオイルを評価します。最低8人以上でテストは行われます。

日本のJAS法には「官能評価」はなく、IOCのような厳格な基準は設けられていません。

日本と国際的なルールに違いがあり、日本でのエクストラバージンオリーブオイルに疑いの目が向けられる原因になっています。

オリーブオイルの選び方

オリーブオイルの基準や偽装問題などについて解説して来ました。どうやってオリーブオイルを選べば良いのかわからなくなりますよね。そこでオリーブオイルの選び方の参考になるポイントを解説していきます。

まず整理しておきたいのは、日本で販売されているオリーブオイルは主に次の3種類です。

  • エクストラバージンオリーブオイル
  • ピュアオリーブオイル
  • ブレンドオイル(オリーブオイルに別の植物油脂を加えたもの)

もし価格の安さだけを重視するのであれば、ピュアオリーブオイルかブレンドオイルが安く求めやすいでしょう。ただしブレンドオイルには、良質なオリーブオイルが使用されているとは考えにくいので、避けたい油と言えます。

ではなるべく健康的で良質なオリーブオイルを選ぶためのポイントは‥

  • 「エクストラバージン」の表記を鵜呑みにしない
  • 産地、品種、搾油方法が明記されているものを選ぶ
  • 遮光瓶・缶に入っているものを選ぶ
  • 価格が安いものは選ばない
  • 認証マークが付いているものを選ぶ
  • (味見できれば)風味があるものを選ぶ

日本の規格は厳格ではないため、エクストラバージンとラベルに書かれていても鵜呑みにしないようにしましょう。逆に日本に基準がないにも関わらず、IOCの基準に準じているメーカーもあります。そういった生産者は信頼度が高いですね。

オリーブオイルの産地や原料のオリーブの品種、低温圧搾や遠心分離などの搾油方法が明記されているものを選びましょう。

油は光や空気に触れると酸化していきます。ペットボトルの容器に入っているものではなく、遮光瓶や缶に入っているものが好ましいですね。仮にペットボトルのものを購入した場合は、遮光瓶に移し替えるのをおすすめします。

市場価格の相場よりも安いものは避けましょう。特にエクストラバージンオリーブを求めるのであれば、250ml1000円以下のものは要注意です。安い過ぎるものは間違いなく「偽物」の可能性が高いです。※IOCの基準をクリアしていないもの

PDO(原産地名称保護)やPGI(地理的表示保護)の認証があるものは信頼度が高く、偽装はされていないと考えらます。

テイスティング(味見)させてくれる店舗であれば、味見をして風味を確認してみましょう。

本物のエクストラバージンオリーブオイルは、安くはありません。

生食用にエクストラバージンオリーブオイル、加熱用にピュアオリーブオイルと用途を分けるのもおすすめです。

その時に最低限、「遮光瓶や缶に入っている」「安すぎない(目安:1ℓ1000円以上)」ものを選んでほしいです。

また消費者が完璧にエクストラバージンオリーブを見極めることは難しいです。信頼できるお店を探すことが一番の解決策と言えます。

まとめ

オリーブオイルの基準や選び方のポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

オリーブオイルの中身は、闇に包まれていている部分が多いです。パッケージやイタリア産などの表記だけでなく、容器や認証マークの有無、低価格すぎないかなどを確認しながら選んでほしいですね。

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