こんにちは!岡山の自然食品店さしすせそです!
今回はチョコレートに関する記事です。
チョコレートって体に良いって聴くけど本当?
植物油脂が体に悪いって聴くけどどうなの?
そんな疑問にお答えします!
意外と知られていませんが、チョコレートには定義があります。チョコレートと呼べるものとそうでないものがあるんですね。美味しいチョコレートですがそこに潜む落とし穴もあるので解説していきます!
- チョコレートに関する基本的知識が全部わかる
- 本物のチョコレートがわかる
- 植物油脂がどんなものでどんなリスクがあるのかわかる
- チョコレートの適切な食べ方がわかる
- 専門家も驚く情報量を用意しています
チョコレートは体に良いのか?悪いのか?
結論から言うと、チョコレートは体に良い面と悪い面の両面を持ち合わせています。
まずチョコレートはとても栄養価が高いです。カカオポリフェノールや食物繊維など体に良い成分を豊富に含んでいます。しかし脂肪分も多く含み、栄養価が高すぎることから、食べ過ぎるとすぐにカロリーや脂質の過多になってしまします。
またチョコレートには定義があり、チョコレートと呼べるものとそうでないものと分かれます。
チョコレートの脂肪分にカカオ由来のカカオバターを使用するのと、カカオバターの代用として加工した植物油脂を使用する場合でも分かれます。
その違いによっても健康効果は変わって来ます。後の記事に詳しく解説していますので、チョコレートがお好きな方はぜひ読み進めてください!
意外と知らないチョコレートの定義
意外と知られていませんが、チョコレートには定義があるのをご存じでしょうか?全国チョコレート業公正取引協議会が定める規格があり、4つに分類されます。
- チョコレート
- 準チョコレート
- チョコレート菓子
- 準チョコレート菓子
わたしたちが食べている黒い(茶色い)チョコレートの部分を「チョコレート生地」もしくは「準チョコレート生地」と呼びます。この生地に含まれる原材料のカカオ分が多い少ないなどで、チョコレート生地、準チョコレート生地に分類されます。
チョコレートの基本的な定義は、
- チョコレート生地‥カカオ分35%以上(ココアバター18%以上)
- 準チョコレート生地‥カカオ分15%以上(ココアバター3%以上)
カカオ分の割合が多い方がチョコレート生地、少なくなると準チョコレート生地と分けられます。さらに乳成分が加わるとミルクチョコレート生地、準ミルクチョコレート生地など細分化されます。
カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ及びココアパウダーの水分を除いた合計量をいう。ホワイトチョコレートの場合、カカオ原料(カカオ分)は全てココアバターだけです。
引用元:https://www.chocokoutori.org/cont3/13.html
チョコレート(準チョコレート)とチョコレート菓子(準チョコレート菓子)の違いは、製品中の生地の割合が全重量の60%以上か未満かで分かれます。
- チョコレート(チョコレート生地が60%以上)
- チョコレート菓子(チョコレート生地が60%未満)
- 準チョコレート(準チョコレート生地が60%以上)
- 準チョコレート菓子(準チョコレート生地が60%未満)
例えばチョコレート菓子は、ナッツやクッキー、ビスケットなどにチョコレート生地がコーティングされているものを指します。逆にチョコレート生地にナッツがアクセントに入っている(全重量の40%未満)のは、チョコレートに分類されます。
(準チョコレート)
(準チョコレート菓子)
カカオマス、ココアバター、脂肪分、乳脂肪分、水分の割合によって細分化されます。それぞれ解説していきますね。
チョコレート生地の定義
チョコレート生地は、「基本タイプ」「カカオ分の代わりに乳製品を足したタイプ」「ミルクチョコレート生地」の3種類に分かれます。
基本のチョコレート生地の定義は‥
- カカオ分‥35%以上
(うちココアバター:18%以上) - 乳固形分‥任意(うち乳脂肪分:任意)
- 水分‥3%以下
カカオ分の代わりに乳製品を足したタイプ‥
- カカオ分‥21%
(うちココアバター:18%以上) - 乳固形分‥カカオ分と合わせて35%以上
(うち乳脂肪:3%以上) - 水分‥3%以下
※ホワイトチョコレートがここに分類されます。
ミルクチョコレート生地は‥
- カカオ分‥21%以上
(うちココアバター:18%以上) - 乳固形分‥14%以上
(うち乳脂肪分:3%以上) - 水分‥3%以下
3種類のチョコレート生地のいずれかの総重量が60%以上のものをチョコレート、60%未満のものをチョコレート菓子と言います。
準チョコレート生地の定義
準チョコレート生地は「基本タイプ」と「準ミルクチョコレート生地」の2種類に分かれます。
基本の準チョコレート生地の定義は‥
- カカオ分‥15%
(うちココアバター:3%以上) - 総脂肪分‥18%以上
- 乳固形分‥任意
(うち乳脂肪:任意) - 水分‥3%以下
総脂肪分はココアバターと乳脂肪分、植物油脂などを合わせた量です。
準ミルクチョコレート生地は‥
- カカオ分‥7%
(うちココアバター:3%以上) - 総脂肪分‥18%以上
- 乳固形分‥12.5%以上
(うち乳脂肪:2%以上) - 水分‥3%以下
2種類の準チョコレート生地のいずれかの総重量が60%以上のものをチョコレート、60%未満のものを準チョコレート菓子と言います。
チョコレートと比べてカカオ分やカカオバターの内訳が少なくなっています。それを補うのにカカオ分をカカオマスではなくココア、カカオバター分を植物油脂で代用するなどしています。
※カカオマス、ココアなどの違いや意味は次の章にて解説しています。
チョコレートの原料や専門用語について
チョコレートを説明する上で、カカオニブやカカオバター、ココアなどの用語が登場します。カカオニブって何?カカオとココアは何が違うのか?
カカオ
カカオは「テオブロマ カカオ リンネ(Theobroma cacao Linne)」という学名を持つアオイ科(アオギリ科)の植物です。カカオの樹になる実の中にあるカカオ豆がチョコレートの原料。
カカオポッド
カカオの実のこと。カカオポッドの中を開けるとこうなります。
外殻、内殻、白い綿のようなカカオパルプ、その中にカカオ豆が入っています。
カカオ豆
カカオの樹から採取された種子。チョコレートの原料となる部分。生の状態は苦みや酸味が強い。発酵、乾燥、焙煎などの工程を経てカカオニブやカカオマスに加工されます。種皮をシェル、胚芽をジャーム、胚乳をニブと呼びます。チョコレートになるのは胚乳の部分(カカオニブ)。
カカオニブ
カカオ豆を発酵、焙煎して外皮を取り除いて、胚乳の部分を細かく砕いた状態をカカオニブと言います。原料そのままの状態に近く、加工が少ないのが特徴です。チョコレートの製造前の原料。グラノーラやスイーツのトッピングにも使用されます。
カカオマス(≒カカオリカー)
カカオニブを磨砕機ですり潰してペースト状にしたものをカカオマスと言います。カカオマスにはカカオバターとカカオソリッドの2つの主要成分が含まれています。見た目はチョコレートそのものですが、味は甘味はなく苦味と酸味があります。
カカオニブをすり潰したカカオに含まれる天然の油脂が溶け出してどろどろとした液体になります。この液体をカカオリカーと呼び、それが冷やし固まったものをカカオマスと呼びます。※翻訳によってはカカオリキュールと表記されている場合があります。カタカナ翻訳による違いで同じものです。
カカオバター=ココアバター
カカオ豆に含まれる天然の植物性脂肪。カカオマスに圧力をかけて油脂を搾りだしたものをカカオバターと呼びます。冷やし固めると黄白色の塊になり、見た目はホワイトチョコレート。ホワイトチョコレートの主成分。
常温で固体で口の中で滑らかに溶ける特性を持っています。融点は約30~35℃。
ココアバターと呼ばれる場合もありますが、同じものを指しています。日本ではカカオバターの方が一般的です。
カカオバターの成分は、カカオマスの中におよそ半分含まれています。
ココアケーキ(≒カカオソリッド)
カカオマスからカカオバターを絞った残りをココアケーキと呼びます。これを粉末状にしたものがココアパウダーです。
カカオマスはカカオソリッドとカカオバターの2つの成分で出来ています。カカオマスの油分(カカオバター)を取り除いた部分をカカオソリッドと呼びます。カカオソリッドは、カカオマスの脂肪分以外の部分を指す名称です。カカオソリッドとココアケーキはほぼ同じものです。違いはカカオソリッドはカカオマスの脂肪分以外を指す名称であるのに対して、ココアケーキはカカオバターを絞った後の残りを指します。ココアケーキには、絞り切れないカカオバターも含まれています。
ココアパウダー
ココアケーキを粉末状にしたもの。
チョコレートが出来るまで
チョコレートができるまでの製造工程を簡潔に解説していきます!
- チョコレートの原料であるカカオ豆の栽培から出荷まで
- チョコレートやココアの原料になるカカオマスができるまで
- カカオマスからチョコレートができるまで
- カカオマスからココアができまるまで
の4つのブロックに分けています。
今回、紹介しているのは、主に大手のチョコレートメーカーさんの大規模製造です。製造工程の順番はメーカーによって前後する場合もあります。
参考:日本チョコレート工業協同組合、日本チョコレート・ココア協会、2U chocolate
カカオ豆の栽培から出荷まで
熱帯地域(主に西アフリカ、南米、東南アジア)でカカオの木を栽培します。栽培には適切な気候条件(高温多湿)が必要です。熟したカカオポッドを手作業で切り取ります。
カカオ豆の風味を引き出すための重要な工程。カカオポッドからパルプと一緒にカカオ豆(種子)を取り出します。カカオ豆をバナナの葉や木の箱に入れ、数日間発酵させます。この過程で微生物が働き、苦味が和らぎ風味が形成されます。
発酵後のカカオ豆を乾燥させて水分を6%以下に減らし保存性を高めます。太陽光で自然乾燥する方法が一般的ですが、工業的に熱風乾燥が用いられる場合もあります。乾燥したカカオ豆は麻(ジュート)袋に入れて、各国の厳しい基準に基づいて検査。合格したものだけが輸出されます。
カカオマスの製造工程
カカオ豆から異物や品質の悪い豆を取り除きます。
カカオ豆を炒って香りを引き出し、風味を強化します。温度や時間は製品によって調整されます。ローストによって1000種類以上の香りが生じます。
豆を砕いて、皮などを取り除いきます。残った胚乳の部分がカカオニブ。
チョコレートの風味を調整するために、数種類のカカオニブをブレンドします。
カカオニブをすり潰して、脂肪分(カカオバター)も溶けだしてドロドロ状態になります。これがカカオマスです。
ここまでの製造工程は、チョコレートとココアともに共通です。この先の工程でチョコレートとココアの製造工程が分かれます。
チョコレートの製造工程
カカオマスに砂糖やミルク、ココアバターなどを混ぜ合わせます。チョコレートの種類によって混ぜる材料は変わります。
ダークチョコレート:カカオマス、カカオバター、砂糖
ミルクチョコレート:カカオマス、カカオバター、砂糖、乳成分
ホワイトチョコレート:カカオバター、砂糖、乳成分※カカオソリッドは含まない
チョコレートを滑らかな食感にするために、混合物を細かく粉砕します。ローラーを使用して、粒子サイズを1μm以下にします。
コンチェと呼ばれる機械で、長時間かけて練り上げます。チョコレートの風味を引き出し、滑らかを増します。数時間から数十時間混ぜ続け、余分な酸味を飛ばしています。
チョコレートを適切な温度に加熱・冷却し、ココアバターの結晶を整えます。このテンパリングによって滑らかな質感、高い耐熱性、美しい光沢、適度な硬さと口どけが得られます。不安定な結晶が残ったままだと、保管中に表面が白くなる「ブルーム現象」が起きます。
型に流し込む作業です。振動を与え、気泡を取り除きます。
チョコレートを冷やし固める工程です。クーリングトンネルと呼ばれる冷却コンベアで流して冷やします。
冷え固まったチョコレートを型から外します。
品質や安全性を保証するために仕上がりや味、食感、成分などの検査を行います。その後、アルミ箔、ビニール、紙などで包装します。
適切な温度に調整した倉庫の中で、熟成させます。熟成させることでカカオに含まれる揮発性成分が適切に落ち着き、香りがより豊かで調和の取れたものになります。カカオバター、砂糖、乳製品などの成分も時間とともに馴染み、一体感のある味わいになります。熟成期間は数日から数週間程度ですが、高品質なクラフトチョコレートでは数カ月間熟成させることもあります。
ココアの製造工程
カカオマスの製造工程の磨砕からの続きです。
カカオマスに圧力をかけて天然の脂肪分(カカオバター)を搾ります。カカオバターを搾り取った残りの固形分(ココアケーキ)ができます。
まずココアケーキをロールで粗く砕いて、次に粉砕機で細かい粒子にします。ココアケーキが粉になった状態が、ココアパウダーです。
調整ココアの場合、ココアパウダーに砂糖や粉乳などを加えます。
防湿、密封性に優れた感、アルミ箔を使った箱や袋に詰めて完成です。
【小規模製造】Bean to Barとは?
Bean to Bar(ビーントゥバー)と呼ばれる小規模でチョコレートを製造する工房もあります。
Bean to Barとはカカオ豆からチョコレートになるまでの全工程を、自社内で一貫して行うチョコレートの製法です。チョコレート業界のサードウェーブとも呼ばれ、2000年代後半にアメリカで始まりました。
大規模製造とBean to Barのような小規模製造では、製造工程に少し違いがあります。大規模製造では「磨砕」と「精錬」の工程をそれぞれ専用の機械で行うのに対し、小規模の製造では石臼状の機械(メランジャー)で磨砕と精錬を同時に行います。
磨砕と精錬を同時に行う工程は「メライジング工程」と呼ばれ、Bean to Bar工房の大きな特徴だと考えられています。
これぞ本物のチョコレート!!
チョコレートは一見どれも似たように感じますが、これぞ本物と言えるチョコレートの基準があります。
本物のチョコレートとは?
「意外と知らないチョコレートの定義」の章でも解説しましたが、チョコレートには定義が存在しています。
ちなみにこの定義は日本での定義で、全国チョコレート業公正取引協議会が定めています。定義は国によって変わります。
例えばアメリカではカカオ分ではなく、「カカオマスの量」で定義されています。またチョコレートや準チョコレートのような分け方ではなく、「スイートチョコレート」「セミスイートチョコレート」「ビタースイートチョコレート」「ミルクチョコレート」「ホワイトチョコレート」で分類されています。アメリカのチョコレート規格はFDAが定めています。ちなみにアメリカの規格でチョコレートを名乗るには、カカオバター以外の植物油脂は使用できません。
- スイートチョコレート:カカオマス15%以上、乳固形分12%未満
- セミスイートチョコレート:カカオマス35%以上、乳固形分12%未満
- ビタースイートチョコレート:カカオマス35%以上、乳固形分12%未満
- ミルクチョコレート:カカオマス10%以上、乳固形分12%以上
- ホワイトチョコレート:カカオバター20%以上、乳脂肪分3.5%、乳固形分14%以上、糖質55%以下
EUのチョコレートの定義は日本と似ていて、カカオ分が35%以上、カカオソリッドが14%以上、カカオバターが18%以上です。EU加盟国によって違いがありますが、最大5%まで植物油脂を添加可能という規定があります。ベルギーではカカオバター100%以外をチョコレートと認めていません。
本物のチョコレートと言えるものは、カカオ分や乳固形分などの定義をクリアした上で「カカオバターのみを使用し、植物油脂を使用していない製品」を指します。他にも「レシチンとバニラ香料以外の添加物を不使用」「糖分はショ糖(砂糖)のみ」などの厳しい基準があります。
食品表示法にはありませんが、厳格なチョコレートの基準をクリアしたものを「純チョコレート」や「ピュアチョコレート」と呼びます。
本物のチョコレート(純チョコレート)は何が良いのか?
カカオバターはカカオ豆から抽出される天然の脂肪です。植物油脂を加えず、カカオバターのみの本物のチョコレートは何が良いのか?
カカオバターは、チョコレートに特有の風味と食感を生み出してくれる成分があります。
カカオから生み出されており、カカオとの相性が良いです。カカオの風味を引き立てる役割を果たします。特にダークチョコレートではカカオバターが深い風味を強調し、チョコレートらしい味わいを口の中に広がります。カカオバター自体は無味に近いですが、その成分がチョコレー」トの風味を手助け、豊かな口当たりを実現してくれます。
またカカオバターは体温で溶ける特徴を持っていて、舌の上で滑らかに溶ける食感を楽しめます。この溶けやすさがチョコレートを食べる際の贅沢な体験をできます。カカオバターの質が高ければ、チョコレートは特に滑らかでクリーミーな食感になります。
ただし植物油脂を使用していないチョコレートは価格が高くなる傾向があります。
ぜひ本物のチョコレートの風味と滑らかな口溶けを体感してほしいですね。
ホワイトチョコレートはチョコレート?また別物?
白いホワイトチョコレートはどんなものなのか?
ホワイトチョコレートにはカカオの主成分であるカカオマスが含まれていません。カカオマスから抽出されるカカオバターと乳製品、砂糖が主な原料で作られます。
カカオソリッド成分が一切入っていないので、色も白~黄淡色で苦味もありません。
ホワイトチョコレートはチョコレートとして定義されるのか?
日本のチョコレートの定義で言うと、「基本タイプ」ではなく「カカオ分の代わりに乳製品を足したタイプ」に分類されます。
- カカオ分21%以上(うちココアバター18%以上)
- カカオ分と乳固形分の合計35%以上(うち乳脂肪3%以上)
- 水分3%以下
この条件を満たしたホワイトチョコレートは、「本物のチョコレート」と言えます。
危険?植物油脂を使用したチョコレートはどんなものなのか?
植物油脂って体に悪いって聴くけど、実際のはどうなの?
カカオ分を多く含み、脂肪分をカカオバターのみで製造されたものを本物のチョコレートと言うことがわかりました。ではカカオバター以外に植物油脂を使用したチョコレートとはどんなものなのか?またどんなリスクがあるのかなどを解説していきます。
植物油脂とは?
植物油脂と聴くと菜種油やオリーブオイルなどの油を想像しますせんか?またカカオバターも植物油脂なのでは?との意見もありますね。
まずチョコレートに使用される植物油脂は、菜種油やオリーブオイルなどの「不飽和脂肪酸」の油ではありません。油には「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」という大きく2種類の油に分けられます。
油の例)飽和脂肪酸‥バター、ラード、ココナッツオイルなど
不飽和脂肪酸‥菜種油、米油、オリーブオイルなど
※油についてより詳しい情報はこちらを参照ください。
チョコレートはご存じの通り、常温で固形になっているお菓子です。なのでチョコレートに使用される植物油脂は、常温で固形として固まる「飽和脂肪酸」系の油になります。
ちなみにカカオバターも植物油脂であり、かつ飽和脂肪酸に分類されます。ただし食品表示における植物油脂は、カカオバター以外になります。
チョコレートにカカオバターの代わりに使用される植物油脂は、次の2通りに分かれます。
- 天然の飽和脂肪酸系の植物油脂
- 化学的な加工油脂
チョコレートの食品表示ラベルを確認すると植物油脂と書かれていますが、どのタイプの植物油脂が使用されているのか明確に表記されている商品は少ないです。
熱心にラベルを見られる方であれば、「植物油脂(パーム油)」と表記されているのは見かけたことがあるのではないでしょうか。パーム油以外で明記されているものを、ほとんど見たことがない印象です。
では「天然の飽和脂肪酸系の植物油脂」と「化学的な加工油脂」とはどんなものなのかをそれぞれ解説していきます。
天然の飽和脂肪酸系の植物油脂について
天然の飽和脂肪酸系の植物油脂にはどんなものがあるのか?
それぞれを簡単に説明すると‥
- パーム油‥アブラヤシ(パームヤシ)の「実」を搾った油
- パーム核油‥アブラヤシの「種」を搾った油
- ココナッツオイル‥ココナッツ(ヤシの実)を搾った油
- サル油‥サル樹木(沙羅双樹)の種から搾った油(サル脂)(主にインド)
- シアバター‥シアの木の種を搾った油(シス脂)(主に西アフリカ)
これらは植物性ですが飽和脂肪酸が多く、常温の時に固形になる性質があります。そのためカカオバターの代替油脂として使用されます。
特にパーム油は比較的、安価に手に入るため、天然の植物油脂として使用されるケースは多いです。しかしパーム油の大量生産によって、熱帯雨林などの森林伐採野生動物への被害といった問題を抱えています。※パーム油が抱えている問題についてはまた別の機会に取り上げます
天然の植物油脂をカカオバターの代替えとして製造されているチョコレートは、カカオバターと比べて風味は劣るもののまだ安心して食べられます。
天然の植物油脂の懸念点は、「飽和脂肪酸」であることです。油脂には様々な脂肪酸があり、エネルギーとして代謝しやすいものとそうでないものがあります。一般的に飽和脂肪酸はエネルギーとして代謝されにくく、摂り過ぎは脂肪の蓄積(太りやすい)、心血管疾患のリスクを高めます。
※エネルギーの代謝が良いとは、体を動かすエネルギーとして早く消費されるということです。なので体脂肪として蓄積されにくい性質があります。
カカオバターや添加物の少ない本物のチョコレートを推奨しますが、安価にチョコレートを楽しむ上では天然の植物油脂を使用されたものがまだ良い方です
化学的な加工油脂とは?
「化学的な加工油脂」と聴くとなんだか嫌な予感がしますよね。その通りでチョコレートを選ぶ上で、注意したい植物油脂です。
ちなみに加工油脂は様々なタイプがあり、それらの総称の呼び名は存在しません。なのでここでは「加工油脂」と呼んで、それらの総称とさせていただきます。
化学的な加工油脂とはどんなものなのか?身近なもので言うと、マーガリンも加工油脂の1つです。
化学的な加工油脂には以下のようなものがあります。
- 部分水素添加油脂
- 完全水素添加油脂
- エステル交換油脂
もう頭が混乱しますよね。今回は難しいメカニズムについての説明は省いて、それぞれがどんなものなのかを簡潔に解説していきます。
部分水素添加油脂というのが、マーガリンやショートニングのことです。部分水素添加油脂は健康リスクが高いとされる「トランス脂肪酸」を多く含んでいる特徴があります。そこでトランス脂肪酸が生成されていないマーガリンやショートニングが完全水素添加油脂です。※極めて微量のトランス脂肪酸が生成される場合があります。
部分水素添加油脂と完全水素添加油脂はどちらもマーガリンやショートニングなのですがトランス脂肪酸の量が変わります。
なぜこのようなことをするのかと言うと、調理に使用している油を思い出してください。一般的なサラダ油や菜種油、オリーブオイルなどは液体の状態ですよね。常温の時に液体の状態の油を不飽和脂肪酸と言います。逆に常温で固まる油を飽和脂肪酸と言います。
バターが冷えた時に固まってて、温かくなると溶けるのは知ってますよね。カカオバターも同じ性質があり、常温や冷えた状態では固形になる性質があります。液体のままの植物油脂をチョコレートにそのまま混ぜると固形にはならずに柔らか~いソースのようなチョコレートになってしまいます。なのでこの水素添加というのは、液体状の不飽和脂肪酸を、化学変化で固体になる飽和脂肪酸へ換える技術なんです。
マーガリンやショートニングも元の原料は液体状の不飽和脂肪酸ですが、それを化学変化で飽和脂肪酸に換えてます。なので常温や冷えた状態では固形になります。液体を硬い固形にすることから「硬化油」とも呼ばれます。
もう一つのエステル交換油脂は、複数の油脂を脂肪酸を組み替えて調整した植物油脂です。良く用いられるのがパーム油や大豆油です。パーム油は融点が高く、常温では硬い固形の状態になります。そこに常温で液体状の大豆油とエステル交換することで、融点を下げて柔らかい固形になります。チョコレートを食べた時の食感をカッチカチのものではなく、滑らかな口溶けになるように調整するということです。
エステル交換は主に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性の触媒(薬品)を使用し、適切な温度と時間を調整などをして行います。
エステル交換のような脂肪酸の組換でなく、シンプルに異なる植物油脂同士をブレンドして調整した加工油脂もあります。ファットブレンドと言います。
部分水素添加油脂や完全水素添加油脂、エステル交換油脂などの加工油脂は、カカオバターのような風味や滑らかな口溶けを再現するように加工しています。
植物油脂の健康リスク
チョコレートに使用される植物油脂には、健康的なリスクはあるのでしょうか。
カカオバターを始め、パーム油といった天然の植物油脂(飽和脂肪酸)と化学的な加工油脂とそれぞれ解説していきます。油脂の種類によって健康的な側面は異なります。
ちなみに加工植物油脂は加工前と性質が異なるため、天然の脂肪酸と比べて栄養分が損なわれている可能性が高いです。健康面でのメリットが少なくなっています。
天然の飽和脂肪酸系の植物油脂の健康リスク
チョコレートに使用される天然の植物油脂は、カカオバター、パーム油、ココナッツオイル、シアバターなどです。
共通しているのは、どれも飽和脂肪酸ということです。飽和脂肪酸はエネルギー源として非常に効率が良く、酸化しにくいというメリットがあります。
しかし飽和脂肪酸は、過剰に摂取すると悪玉コレステロールを増やし、心血管疾患のリスクを高めます。また体脂肪として蓄積されやすいデメリットもあります。
ちなみに飽和脂肪酸の脂肪酸の種類によっては、エネルギーの代謝が良く、健康リスクが低いものもあります。なので植物油脂の中でもカカオバターとココナッツオイル、シアバターなどはエネルギーの代謝が良く、飽和脂肪酸の中でも健康リスクは低いです。ただし摂り過ぎれば、飽和脂肪酸としての健康リスクは高まります。
部分水素添加油脂の健康リスク
部分水素添加油脂は不飽和脂肪酸を部分的に飽和脂肪酸に変化させています。その加工の過程で「トランス脂肪酸」が生成されることが分かっています。
摂り過ぎると飽和脂肪酸のリスクに加え、トランス脂肪酸のリスクが高まります。
トランス脂肪酸には、飽和脂肪酸と同様に悪玉コレステロールと心血管疾患のリスクを高めます。さらに善玉コレステロールも減少させてしまう働きがあり、飽和脂肪酸よりも健康リスクは高いです。
また炎症反応を引き起こすことがあり、糖尿病や癌などの慢性疾患を引き起こすリスクが増えます。
その他にも認知症、肝機能、妊娠中は胎児に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
トランス脂肪酸には健康的なメリットはなく、なるべくは摂取を控えたい成分です。
完全水素添加油脂の健康リスク
完全水素添加油脂は不飽和脂肪酸を完全に飽和脂肪酸に換えた油脂です。このプロセスではトランス脂肪酸が生成されない特徴があります。厳密にはごく微量にトランス脂肪酸が含まれる可能性がありますが、気にする量ではありません。
その代わりに飽和脂肪酸の量が多くなるので、天然の飽和脂肪酸と同様の健康リスクを伴います。摂り過ぎると悪玉コレステロールの増加、心血管疾患のリスクが高まります。さらに体脂肪として蓄積されやすいです。
天然の飽和脂肪酸にはステアリン酸などの健康リスクの低い脂肪酸もありますが、完全水素添加には基本的にリスクの低い脂肪酸はありません。
エステル交換油脂の健康リスク
エステル交換油脂は複数の異なる植物油脂の脂肪酸を組み替えて生成した加工油脂です。このプロセスではトランス脂肪酸は生成されません。
エステル交換油脂の健康リスクは、元の植物油脂の成分に由来されます。基本的にパーム油のような飽和脂肪酸を多く含む脂肪酸と組み合わせる可能性が高いので、飽和脂肪酸と同様のリスクは考えられます。
ただしエステル交換によって脂肪酸の配置は、自然な状態とは異なる形で再構成させています。そのため、不自然な構造が体内でどのように代謝されるのか、すべてが明らかにはなっていないです。一部では長期的な接種が心血管疾患や脂質異常症に影響する可能性があると指摘されています。
エステル交換油脂はトランス脂肪酸が生成されない利点があるものの、エステル交換を行う前の脂肪酸が把握しにくい。どんな影響があるのか明らかにされていないという違う角度のリスクを伴っています。
植物油脂のリスクを語る時に「トランス脂肪酸」が含まれるかどうかばかりに注目が集まってます。しかしトランス脂肪酸が含まれない代わりに、潜む別のリスクも把握することが大事です。
なぜカカオバターではなく別の植物油脂が使用されるのか?
天然の飽和脂肪酸系の植物油脂や化学的な加工油脂は、カカオバターと比べて健康的なメリットは少なく、様々な健康リスクを抱えています。それなのになぜ植物油脂を使用する必要があるのでしょうか?
植物油脂で代用する主な理由は、「コスト削減」と「大量生産」の2つです。
カカオバターは高価で、カカオバターを多く使用することで高級なチョコレートになってしまします。パーム油などの植物油脂の方が安価であり、販売価格を抑えることができます。
安価な植物油脂を使用することで、手頃な価格の商品を大量生産しやすくなります。特に大規模な菓子メーカーにとっては重要な要素です。
その他の理由として、「融点や硬さの調整」「用途による使い分け」「保存性を高める」などもあります。
カカオバターは口溶けが良い一方で、温度に敏感で溶けやすい性質を持っています。植物油脂は融点を調整できるため、高温の地域や夏場でも溶けにくいチョコレートを作ることが出来ます。実はカカオバターのみを使用した本物のチョコレートは寒い時期にしか販売されていないんです。
植物油脂は硬さも調整できるため、色々な食感のチョコレートをカスタマイズすることが可能になります。また冷蔵保存が難しい製品や軽い食感を求めるスナック菓子などでは、植物油脂の方が適している場合もあります。
これらの理由からカカオバターの代わりに、植物油脂が使用されています。「手頃な価格で買いたい」という消費者の要望が一番の要因ではないでしょうか。安さの代償として様々な健康リスクがあることを忘れないでほしいです。
チョコレートの健康効果
チョコレート食べて健康に良いとこあるの?
植物油脂の危険性などチョコレートに関する健康リスクを伝えて来ましたが、チョコレートを食べることで健康的な効果はあるのでしょうか?また本物のチョコレートと植物油脂を使用したチョコレートでは、健康効果は変わるのか?
チョコレートの健康効果について解説していきます。
チョコレート(カカオ成分)で期待できる健康効果
チョコレートにはしっかりと健康効果があります。紀元前の古代メキシコでは、嗜好品としてだけでなく、滋養強壮の薬としても利用されていました。
チョコレートの原料になるカカオに含まれる主な成分は‥
- カカオポリフェノール
- カカオプロテイン
- テオブロミン、フェニチルアミン、カフェイン
- ミネラル(マグネシウム、鉄分、亜鉛)
- 食物繊維
などがあります。これらは次の健康効果が期待できます!
- 抗酸化作用
- 血圧を下げる
- ストレス軽減、リラックス効果
- 集中力向上
- ミネラル補給
- 善玉菌の増殖
- 筋肉、皮膚の健康維持
- 便秘改善 など
ただしチョコレートには豊富な栄養成分が含まれていますが、食べられる量は多くないです。そのため成分の摂取量は限られて来ます。摂取量や効果の持続性などの留意点もあります。
またチョコレートの成分でも特にカカオ分に含まれる栄養効果ですので、カカオ分の少ないほど効果は薄まります。
カカオポリフェノール
チョコレート、特にダークチョコレートにはカカオ由来のポリフェノール(特にフラボノイド)が豊富に含まれています。
抗酸化作用:強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を抑制し、アンチエイジングや心血管疾患の予防に寄与します。
血圧を下げる:またポリフェノールには血管を拡張する作用があり、適量摂取すると血圧を下げる効果が期待できます。
ただしポリフェノールの効果は持続しにくい弱点があります。ポリフェノールはすぐに効果を発揮するものの、代謝され3~4時間で体外に排出されてしまいます。適量を時間を空けて食べるを毎日の習慣にするなど、長期的に摂取することで効果を持続させることができます。
ポリフェノールはチョコレート以外にもお茶、コーヒー、トマトジュース、林檎、ぶどう、カシス、ベリー類、大豆、玄米など様々なものに含まれています。なのでチョコレートだけで摂取を考えるのではなく、様々なものを摂取する中で効果を持続させることが良いですね。
カカオプロテイン
カカオ豆には約10~15%のたんぱく質が含まれています。このうち、アルブミンやグロブリンなどの種類が主要な成分です。主に発酵や焙煎の過程で変性し、風味や口溶けに影響を与える役割もあります。
善玉菌を増やす:カカオプロテインは腸内で食物繊維やカカオポリフェノールと相互作用することで、善玉菌の増殖をサポートするとされています。
筋肉や皮膚の健康維持:高品質なたんぱく質であるため、適量摂取は筋肉の修復や再製、肌のターンオーバーに寄与する可能性があります。
抗酸化作用の補助:カカオプロテインはカカオポリフェノールとともに摂取されるため、体内での抗酸化効果を補助する働きがあります。
満腹感の促進:たんぱく質は消化・吸収に時間がかかるため、満腹感を長時間持続させ、間食を防ぐ効果が期待されます。
ただし一般的なチョコレートに含まれるカカオプロテインの量は少ないため、これを主なたんぱく源と考えるのは現実的ではないです。
精神的な効果
カカオにはテオブロミン、フェニチルアミン、カフェインなどの成分も含まれています。テオブロミンはカカオ特有の苦み成分とされています。※テオブロミンは犬や猫にとっては毒性があります
ストレス軽減、リラックス効果:テオブロミンやフェニチルアミンが、リラックス効果や幸福感をもたらすとされています。
※フェニチルアミンは、別名「恋愛ホルモン」と言われています。チョコレートで恋が生まれるかも?知れません。
集中力の向上:微量のカフェインが含まれていて、適度な覚醒作用が期待できます。
ミネラル補給
カカオにはマグネシウム、鉄分、亜鉛などのミネラルが含まれています。
マグネシウム:筋肉や神経の正常な機能をサポート。骨の健康維持。エネルギーの代謝を促進
鉄分:赤血球の生成をサポート。酸素を運搬するヘモグロビンの成分※動物性食品に含まれる鉄(ヘム鉄)より吸収率は低いが、植物性食品としては豊富
亜鉛:免疫機能の強化、傷の治療を促進、味覚や嗅覚の正常化、健康的な皮膚や髪を保つ※植物性食品で亜鉛の接種として重宝
その他にもカリウム、リン、カルシウム、銅などのミネラルも含まれています。
食物繊維
カカオは食物繊維が豊富です。きくらげを除くとトップクラスで食物繊維が多いです。食物繊維とカカオプロテインは相互作用で腸内環境を整えてくれます。
便秘改善:不溶性の食物繊維が多く、消化されずに腸まで届き、腸内を活発にして便通を促進してくれます。
カカオバターと加工油脂での効果の違い
カカオバターのみで作られた本物のチョコレートと加工油脂で代用したチョコレートでは健康効果に違いがあるのか?それぞれの違いについて解説していきます。
カカオバターの健康効果
カカオバターはカカオマスを搾って得られる成分なので、カカオに含まれる成分を補完する形で得られます。例えばポリフェノールの主成分はココア分(カカオソリッド)の方に含まれますが、カカオバターにも一部含まれています。
カカオバターの健康効果で注目するのは、脂肪酸の部分です。カカオバターに含まれる脂肪酸組成は‥
- ステアリン酸(飽和脂肪酸)
- パルミチン酸(飽和脂肪酸)
- オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)
- 微量なリノール酸(多価不飽和脂肪酸)
- その他、ミリスチン酸、アラキドン酸など
ステアリン酸とパルミチン酸、オレイン酸がほぼ同じくらいのバランスで配合されています。カカオや製造方法によって多少のバラつきはあります。
驚いたのは3つの中でオレイン酸が最も多い場合もあることです。
オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で熱に強く酸化しにくい特徴があります。抗酸化作用、善玉コレステロールを増殖、悪玉コレステロールを抑制、動脈硬化の改善、血糖値の上昇を抑制など、適量摂取で体に良い効果が期待できる脂肪酸です。
ステアリン酸とパルミチン酸は飽和脂肪酸で、飽和脂肪酸のリスクを抱えています。詳しくは「危険?植物油脂を使用したチョコレートはどんなものなのか?」の章を参照ください。
しかしステアリン酸は他の飽和脂肪酸と比べて、中性脂肪(トリグリセリド)に対する影響が少ないと言われています。悪玉コレステロールの増加が少なく、善玉コレステロールを増加させる可能性があります。そのため心疾患に良いとされています。
エネルギーとしての代謝も良く、体脂肪として蓄積されにくい特徴があります。
カカオバターは主に飽和脂肪酸の油脂ではありますが、ステアリン酸やオレイン酸といった体にとって良質な脂肪が多いのが特徴です。
またカカオバターを使用した本物のチョコレートは、使用される原料がカカオマス、カカオバター、砂糖、乳成分とシンプルなため、添加物も少ないのが嬉しい。
加工油脂の健康効果
最初に言うと加工油脂の場合、油脂分での健康効果は期待しにくいです。
まず脂肪酸は原料となる油脂に準ずるのですが、どの油脂を使用しているのか把握が難しい。安価に生産することを目的とした場合、パーム油や大豆油、コーン油などが主原料になっていることが考えられます。
パーム油が原料の場合、飽和脂肪酸が主の脂肪酸になります。大豆油、コーン油を原料の場合は、部分水素添加によるトランス脂肪酸のリスク、もしくは完全水素添加による飽和脂肪酸のリスクが考えられます。
加工油脂を使用したチョコレート(主に準チョコレート)もカカオ分の健康効果は期待できますが、使用されるカカオ分が減るので健康効果は低いです。
また加工によってカカオ分の方の栄養も失われてる可能性もあります。さらに加工する過程で添加物を使用するケースも多く、添加物の含有量も増えてしまいます。
チョコレートの健康効果まとめ
カカオ成分には体に良い栄養が豊富に含まれていて、一定の健康効果は期待できます。
ただしチョコレートを適量での接種を考えると、主な栄養源にするには難しいです。逆に食べ過ぎると脂質やカロリーの摂り過ぎのリスクが生じるので注意が必要です。
カカオバター以外の加工油脂で代用した場合は、さらに健康効果は期待しにくくなります。
【注意】本物のチョコレートの落とし穴
豊富な栄養素が凝縮されたカカオですが、注意するべきことがあります。カカオ分を多く含む本物のチョコレートの方が、逆に体に害を与える可能性もあるんです。
実は本物のチョコレートは栄養価が高すぎることが落とし穴なんです。
またチョコレートはカカオ分だけでなく、砂糖(糖質)も含んでいることを忘れてはいけません。
チョコレートの摂り過ぎには、次のようなリスクがあります。
- カロリー過多
- 糖分の過剰摂取
- カフェイン、テオブロミンの接種過多
- 過剰な脂肪分
- アレルギー反応
- 質の低いカカオ
いずれも適量の接種では問題はありませんが、摂り過ぎると加工したチョコレート(準チョコレート)よりもリスクは高まります。
カロリー過多
本物のチョコレートもカロリーが高いです。特にミルクチョコレートやホワイトチョコレートはカカオの割合が低く、砂糖や乳成分が多いため、糖質や脂質が高くなります。食べ過ぎるとカロリー過多になり、体重増加の原因となる可能性があります。
糖分の過剰摂取
チョコレートには種類にもよりますが、多くの砂糖を含んでいます。例えばダークチョコレートでカカオ50%のものがあれば、残りの50%の大半は砂糖です。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートはカカオ分も低く、甘みを強調するために大量の砂糖が加えられています。※ミルクチョコレートの場合、乳成分は全体の10~20%程度
カカオ分が低いチョコレートは黒い塊でわかりにくいですが実は砂糖の塊を食べているようなものです。
これにより血糖値が急激に上昇し、糖尿病や肥満のリスクが増加します。
カフェインやテオブロミンの接種過多
カカオにはカフェインやテオブロミンが含まれています。これらは軽い覚醒作用を持っており、摂取しすぎると眠れなくなったり、心拍数が上がったりする可能性があります。
特に敏感な人や夜遅くにチョコレートを食べる人にとっては、影響が大きいことがあります。
過剰な脂肪分
カカオバター自体が飽和脂肪酸を多く含んでいます。良質な脂質とはいえ過剰摂取は心血管疾患のリスクが高まることがあります。
特にミルクチョコレートやホワイトチョコレートでは、カカオバター以外にも乳成分の動物性脂肪が加わります。脂肪分の摂り過ぎで、健康リスクが高まります。
アレルギー反応
一部の人に限られますが、チョコレートに含まれる乳成分やナッツにアレルギーを持っている場合があります。
乳化剤として使用されるレシチンは大豆由来のものが多い。レシチンは大豆の脂質部分です。アレルギー反応を引き起こすのは「大豆のたんぱく質」部分が多く、レシチンには反応しないケースが多い。しかしまれにレシチンに微量の大豆たんぱく質が含まれている場合があり、人によっては影響を受けることもあります。
アレルギーは人によって反応の度合いが違いますので、注意が必要です。
ダークチョコレートの原料に乳成分と書かれていることがありますが、乳成分を原料には入れていません。しかし乳成分を使用した工場内で製造するため、混入を否定できないので記載されています
質の低いカカオの使用
「本物のチョコレート」の配合だとしても、使用されるカカオの品質が低い場合があります。
カカオ生産には貧困や技術水準の格差という背景があり、品質の高いカカオの生産が難しい農家さんもおられます。低品質のカカオはココアとして利用しますが、稀にチョコレートに使用される可能性があります。
低品質のカカオには、加工の過程で栄養価が損なわれているもの、有害な化学物質が含まれている可能性があるので注意が必要です。
本物のチョコレートの落とし穴のまとめ
本物のチョコレートは栄養が豊富な上に、逆に食べ過ぎはカロリーや糖分、脂肪分の摂り過ぎに繋がりやすくなります。
個人的に本物のチョコレートの板チョコを2枚食べた後に、体調不良になったことがあります。
本物のチョコレートだから安心というのではなく、適量を見極めて食べることが大事ですね。
チョコレートの適切な摂取量
チョコレートは体に良い効果を持つ反面、栄養価が高すぎるために食べ過ぎには注意が必要です。チョコレートの1日の摂取量の適量はどれくらいなのでしょうか?また妊婦さんや幼児などはどれくらい食べても良いのか?
チョコレートの適切な摂取量などは‥
- 成人:1日20~30g程度
- 妊婦:1日200㎎以下のカフェイン摂取を目安
※チョコレートを食べる量は成人と同じくらいだが、カフェイン摂取を他の嗜好品との兼ね合いで注意 - 幼児:1日5~10g程度
- 適正年齢は1歳半~3歳と意見は様々
あくまでも一例です。カカオの含有量などによっても変わって来ます。
カカオの含有量が多くなると、カフェインやテオブロミンも増えます。そのため妊婦さんやカフェインに敏感な人は摂取量を注意する必要があります。
加工油脂を使用したチョコレートは脂肪の質に注意が必要です。
チョコレートは美味しいのでついたくさん食べたくなる気持ちも分かりますが、嗜好品として少量を楽しむのが一番良いですね。
チョコレート風味や味わいを楽しむのであれば、チョコレートよりもチョコレート菓子を食べた方が満腹感を得られやすいかも知れません。
まとめ
チョコレートの基礎知識や健康効果などをまとめました。
まとめるとチョコレートは健康にも良いが、栄養が高すぎるので摂り過ぎには注意が必要ということです。
そしてなるべくは加工油脂は避けて、なるべく天然に植物油脂かカカオバターを使用した本物のチョコレートを選ぶようにしたいですね。
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[…] チョコは体に良い?悪い?本物のチョコレートとは? こんにちは!岡山の自然食品店さしすせそです! […]